全ての機種に当てはまるわけではありませんが、ミニPCはデスクトップPCと比較して消費電力が小さい「傾向」があります。そのワケと、実測した結果をまとめます。
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なぜミニPCは電気代が安いの?
低電圧版CPUを採用している機種がある

一部のミニPCは「低電圧版」と呼ばれるCPUを採用しています。CPUの型番の末尾がUで終わるものです(IntelのNシリーズなども低電圧版)
低電圧版は主にノートPCやモニター一体型PCで使われるCPUです。多くのノートPCはこの低電圧版のCPUを採用しています。ミニPCでも低電圧版を採用している機種があります(デスクトップ向けCPUを採用しているものも少なくない)
低電圧版CPUは消費電力が小さい

低電圧版CPUは主にノートPC向けのCPUです。ノートPCはバッテリーを内蔵しており、持ち運びを前提とした製品です。バッテリーを長持ちさせるため、消費電力を抑えているのが低電圧版の最大の特徴です(低電圧版は排熱が少なく、その点でもノートPCでは低電圧版が選ばれる)
デスクトップPC向けと比較すると、低電圧版のCPUは平均すると消費電力が10~20W小さいです。仮に差を10Wとすると、電気代は8時間あたり2.5円の差になります(31円/kWhの場合)
仕事用のPCで1日8時間・年間240日稼働する場合、年間の電気代の差は600円となります。
低電圧版でない方が「安い」事実も
電気代が安い低電圧版ですが、実は低電圧版を選ばない方がトータルコストでは安上がりです。
低電圧版は処理性能が低い 同性能で揃えると価格は・・

低電圧CPUは消費電力が小さい分、処理性能も低いです。低燃費とハイパワーは両立しない、ということです。
低電圧版とデスクトップ版で同程度の処理性能で揃えようとすると、どうしても低電圧版の方がPC本体価格が高くなります。数千円という単位ではなく、1万円単位でデスクトップ版の方が安いです(ミニPCの場合)
一方で電気代の差は仕事道具としてフルタイムで使っても年間1000円以下です。本体価格差を吸収するには10年を超える年月を必要とするため、PCの買い替えサイクルを考えると差額を電気代差で回収することは不可能と言えます。
トータルでコスパが良いのはデスクトップ版CPUのミニPC

低電圧版CPUもノートPCで当たり前に使われているものなので、PCとして全く問題無く使うことが出来ます。ちなみに私自身、直近4年間は低電圧版CPUを搭載したミニPC(マウスコンピューターCAシリーズ)をメインPCとして使用しており、このサイトも低電圧版CPUでストレス無く制作できています(AMD Ryzen5 4500U)
とはいえ、低電圧版よりデスクトップ版CPUを搭載したミニPCの方が価格が明らかに安い傾向があるので、トータルで「安い」のはデスクトップCPUを搭載したミニPCということになります。
コスパを重視するならデスクトップ版CPUのミニPCを選ぶことをおすすめします。
ミニPCの消費電力の実測結果
Ryzen5 4500Uを搭載したマウスコンピューターCAシリーズ(2021年モデル)で消費電力を実測した結果をまとめます。
消費電力の計測結果
| 計測時間:434分 | 消費電力量:139.69Wh |
| 平均消費電力 | 19.3W |
約7時間、サイトの更新作業などでPCを使った結果、消費電力量は139.69Whでした。平均の消費電力は19.3Wとなります(いずれもPC本体のみの数値)

過去に姉妹サイトの方でCore i5-6600搭載の大きなデスクトップPCで計測したところ、ほぼ同じ使い方で平均30.45Wという結果だったので、ミニPCの方が消費電力が小さいということはこの計測結果からも言えます(Passmarkスコアで比較するとミニPCの方が処理能力が大幅に高い)

↑この2台で実測しました
電気代は?
デスクトップPCの消費電力を平均30W、ミニPCの消費電力を20Wとした場合の電気代の差額を計算してみます(電気代を31円/kWhとする)
| 使用時間 | 電気代差額 |
|---|---|
| 1時間 | 0.31円 |
| 8時間 | 2.48円 |
| 160時間(8*20日) | 49.6円 |
| 1920時間(8*240日) | 595.2円 |
家庭用PCでは1日8時間・週5で稼働することは無いと思いますが、仕事用PCとして使用した場合、年間で600円ほどミニPCの方が電気代が安いことになります。5年使うと3000円、と考えると差は小さくないのではないでしょうか。
ミニPCの比較はこちら
国内メーカーのミニPCを中心に、各社製品をみやすい一覧比較表で比較できます。CPUの型番と、処理性能を示すベンチマークスコアも掲載しているので、低電圧版とデスクトップ版の価格差も分かりやすいと思います。
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