2017年1月に米国ラスベガスで開催されたCES2017にて、Intelがカード型パソコン「Compute Card」を発表しました。数年前話題になったスティックPCをも上回る省スペース製を実現した未来のパソコンを詳しく解説します。

カード型PC Intel Compute Cardとは?

クレジットカードのほどの大きさ

カード型PCはクレジットカード大のパソコン

 その名の通り、クレジットカード程のサイズのパソコンです。

 公表されたサイズは55x95mmの厚さは5mm
 クレジットカードのサイズは「53.98×85.6×0.76mm」ですから、カードを6枚半重ねたくらいの大きさ、とイメージするといいです。

 これほど小さな本体ですが、CPUやメモリー、ストレージやWi-Fi/Bluetoothのアンテナを搭載しているのでOSをインストールすれば「パソコン」として使えるという代物です。

スペックはノートPC並?

カード型PCはCore i3搭載?

 搭載されるCPUはまだ発表されていませんが、Intelの第7世代プロセッサー「Kaby Lake」になると噂されています。Intelは廉価なAtomシリーズの新規開発を凍結していますから、カード型PCが搭載するのは「Core」シリーズになる可能性が高いというわけです。

 Coreシリーズが搭載されれば、ノートPC並のスペックが期待出来ます。これほど小さな本体で、ノートPCと遜色ない処理能力を実現するとは、まさに近未来な感じがしますね。

想定される利用シーン

 カード型PCの用途を考えます。

パソコン代わりに使う

 Atomを搭載したスティックPCをサブのパソコンとして使っている人もいます。さすがにAtomではメインのPCとして使うには不満を感じる場面も出てしまいますが、Coreシリーズ搭載ともなれば話は別です。

 USBポートなどの拡張性の面ではノートPCやデスクトップPCには到底及びませんが、ネットを見るとか動画鑑賞するといった用途なら特に問題なく、パソコンとして使えそうです。

テレビに接続 動画配信を楽しむ

 先行して普及しているスティックPCは、テレビに接続して使っている人が多いです(私もそうです) YoutubeやTVerなどの動画配信サービスを、大画面で楽しむことが出来るので良いです。

 カード型PCも同様に、テレビに接続する使い方が定着するのではないでしょうか。詳細は未発表ですが、冷却用のファンを搭載しない可能性が高いので、本体を起動しても無音状態で動画鑑賞を楽しむことが出来ます。4K動画の再生に対応していれば、なお良いですね。

業務用

自販機など業務用用途に期待されるカード型PC

 本機の用途として大本命なのは、業務用用途です。
 自動販売機や屋外広告に本機を組み込むことで、故障時の交換や機器の更新が容易になります。4K動画を駆使した映像広告などが期待されます。

欠点とデメリットは?

 小さいが故の弱点もあります。

従来のポートが利用できない

カード型PCではUSBは使えない

 カード型PCは本体が5mmと薄いため、従来のUSBやHDMIといったポートが利用出来ません。周辺機器との接続には「USB-C plus extension」を用いるほか、独自のコネクターが用意されます。せっかくのコンパクトな本体ですが、実際にパソコンとして使う場合は電源ケーブル、HDMIなどの映像用ケーブル(そのまま接続出来ないので要コネクター?)は最低限必要になってくるので、ごちゃごちゃとしてしまいそうです。それならスティックPCでも充分ではないかという気もしなくはないです。

放熱性にやや不安

カード型PCは放熱性が不安 熱暴走は?

 この薄さでは冷却用ファンを搭載できない可能性が高いので、高負荷の作業を長時間続けた場合の熱対策がやや不安です。ファンレスのスティックPCの中には、ネットサーフィン程度の軽作業でも熱暴走する機種(MS-NH1)もありましたから、こうした懸念が出て来るのは当然です。

 過去にはファンレスで文庫本サイズのPCを試したことがありますが、ファンレスでも問題はありませんでした(参考:ドスパラDG-M01IWの実機レビュー) 「ファンレス=熱に弱い」というわけではないので、熱対策の点は発売後に要チェックです。

コスパ

 小さくするにはお金が掛かります。

 価格はまだ発表されていませんが、Core m3を搭載したIntel Compute Stick(スティックPC)が4.8万円という価格なので、最低でもそれ以上になるのではないでしょうか。

 小ささは大きな魅力ですが、性能あたりのコスパも考えると超小型PCあたりの方がバランスが良さそうです。

今後の展望が不透明

2018年にIntelから発売されましたが、2019年には開発を打ち切る旨の発表がありました。今後の展望は不透明と言えます。

現在市販されているものはいずれもWindowsのOSがインストールされていないため、初心者向きの端末でないことも追記しておきます。

プロセッサーメモリーストレージ
インテルCompute Card
CD1M3128MK
Core m3-7Y304 GB128 GB/SSD
インテルCompute Card
CD1C64GK
Celeron N34504 GB64 GB/
eMMC