超小型PCの中には、バッテリーを内蔵しているモデルも一部あります。そのメリット・デメリットを解説します。
バッテリー内蔵のメリット
まずはバッテリー内蔵だからこそのメリットや利点を紹介します。
電源を落とさず本体を移動できる
電池残量があれば、コンセントから電源を取らずにPCを稼働させることが可能です。コンセントが無い場所で使えるのは分かりやすい利点です(ただしモニターは別途必要)
それに加え、電源を落とさずに自由に本体を移動させることが出来る、という点も場合によってはメリットになるでしょう。電池残量さえあれば、電源ケーブルを外しても電源オンのまま稼働します。
突然の停電でも電源が落ちない
バッテリー内蔵とはいえ、日常的にバッテリー稼働させる場面は少ないかもしれません。つまり、コンセントから電源を取った状態で使うということです。
バッテリーを搭載していないPCの場合、停電すると電源が落ちてしまいます。しかしバッテリー内蔵であれば突然の停電でも電源が落ちることは無いため、作業中のデータが消えるといった「悲劇」を防ぐことが出来ます。
UPS(無停電電源装置)を使えばバッテリー内蔵でなくとも、突然の停電からPCを守ることが出来ますが、導入費用が高いことや場所を取ることから導入を躊躇する人も多いでしょう。
バッテリー内蔵の超小型PCはコンパクトなので、UPSを使うよりも「スマート」です。
バッテリー内蔵のデメリット
デメリットもあります。
性能が低い
消費電力を抑えバッテリー駆動時間を伸ばすためか、スペックが低いです。
バッテリー内蔵の超小型PCは、Windowsタブレットと同等の性能です。というかWindowsタブレットに使われる部材を転用した製品なので、スペックはWindowsタブレット「そのもの」と言えます。
簡単なネットサーフィンや動画鑑賞、あるいはメールチェックや文章作成は可能ですが、高い処理能力を必要とする作業には向きません。
重量が重い
バッテリーを内蔵しているため、スペックのわりには本体の重量が重くなってしまいます。
とはいえ、超小型サイズのPCなので一般的なサイズのデスクトップPCと比べれば圧倒的に軽量・コンパクトです。
Windowsタブレットで充分では?
バッテリー内蔵超小型PCは、言い換えると「ディスプレイが無いWindowsタブレット」です。中身はWindowsタブレットと同じなので。
それならば、Windowsタブレットで充分ではないか、と思います。
Windowsタブレットであればキーボードやマウスを接続することも出来ますし、HDMI端子がある機種(上位モデル)では外部出力が出来るため、「パソコン本体」として使うことも可能です。
しかも、機種のバリエーションも豊富です。
バッテリー内蔵の超小型PCの一覧
最後に、バッテリーを内蔵した超小型PCを一覧で紹介・・したいところでしたが、2018年10月現在は該当する商品が販売されていない状況です。
過去にはバッテリー内蔵の超小型PCがいくつかありました。
ドスパラDG-M01IW
代表的なものとしては、ドスパラが「文庫本PC」(文庫本サイズ・重量のPC)として販売していた「DG-M01IW」です。ドン・キホーテでもOEM品が販売されていました(2015年7月発売)
CPUはAtom Z3735F、メモリー2GBに32GBのストレージと当時のベーシックなWindowsタブレットそのままのスペックに、約8時間もつバッテリー(私が実測:スペック上は13時間)を装備していました。
ドスパラDG-CANPC
また、同じくドスパラが販売していたDG-CANPCという機種もありました(2016年10月発売)
500mlペットボトルサイズの本体に、Atom x7-Z8700と4GBのメモリーと、公称6時間駆動のバッテリーを搭載して31800円という価格で発売されました。
水筒のような、PCとしてはスタイリッシュなデザインを売りの一つにしていました。
関連記事:ドスパラDG-CANPCの実機レビュー
バッテリー内蔵が欲しい場合の解決策
残念ながら現在はバッテリーを内蔵した超小型PCは販売されていませんが、どうしてもそのような商品が欲しい(Windowsタブレットではダメだ)という人に裏ワザを紹介します。
スティックPCとモバイルバッテリーを使えば、バッテリー駆動の超小型PCが「完成」します。
私も実際にモバイルバッテリーでスティックPCを使ったことがありますが(詳細は以下の記事)、モバイルバッテリー側で出力できる電流の大きさと、スティックPCのスペックが合っていれば問題無く使えます。
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関連記事:スティックPCはモバイルバッテリーで動くのか実験レポート
機種によって必要な電流の大きさが異なりますが、スティックPCの中でも低スペックのものは2.0Aで動きます。スマホ用のモバイルバッテリーだと厳しい場合もありますが、タブレットやiPadにも給電出来るものであれば対応出来る場合もあります。
スティックPCの純正のACアダプターのアンペア数を確認した上で、モバイルバッテリーを選んでください。
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