本体がコンパクトなミニPC。従来型の「大きなPC」と比べてどのようなメリット・デメリットがあるのかを詳しく解説します。

こんなにあるメリット

 まずはデスクトップPCやノートPCよりも優れている点を紹介します。

圧倒的省スペース性

 超小型PCの最大のメリットは、その小ささが生み出す圧倒的な「省スペース性」です。

 本体サイズはCDケース(シングル)を5枚重ねた程度のものから、大きくても500mlペットボトル2本分程度。机の上に置いても邪魔になりません。

超小型PCの使用風景
机の上に置いても場所を取らない

 また、VESAマウントを利用してディスプレイの裏に取り付ければ、PC本体に取られるスペースは「ゼロ」になり、部屋や机の周りがスッキリします。

 かなり細かい話になりますが、都内の平均的な1Kのマンションで計算すると、デスクトップPC本体を置くスペースに掛かる家賃は月231円/年2772円。これがゼロになるので、目には見えない経済的メリットもあります(PC本体:40cm×17cm 家賃8.5万円/月 25平米で試算)

VESAマウントで超小型PCを設置
VESAマウントで取付けると場所を取らない


大きなPCと同じように使える

 小さいと性能が劣るのではないかと思いがちですが、大きなデスクトップと全く変わらない性能を持つ超小型PCも多いです。

 使用しているCPUはデスクトップPCと同じ、またUSBの差込口の数や映像出力端子の数もデスクトップPCと変わらない機種もあります。もはや大きなデスクトップPCが無駄に見えてしまいます。

 最近は高性能なCPUとちょっと良いグラフィックボードを搭載した「ゲーミング」超小型PCも登場しており、3Dゲームのプレイにも耐えられます。

ドスパラ mini Magnate
mini Magnateの背面 さらに前面にもUSBが2つある

音が静か

 ファンの音が静かな機種が多いです。
 私が以前試した機種の中には、静か過ぎてハードディスクの読み込み音がかすかに聴こえるものもありました。

関連記事:超小型PCの静音性ってどうなの? | ファンレスのモデルもあるけど・・

移動がラク

 意外と見落としがちなメリットです。

 部屋の模様替え、引っ越しでの移動がラクなのはもちろん、故障した際に修理に出すのもラクです。サイズはもちろん、重量も平均1Kg台ですから子供でも持ち歩けます。

 修理などにそなえてPCの外箱を保管している人もいると思いますが、外箱も小さいので邪魔になりません。

機種によっては低消費電力

 一部の機種はノートPCやディスプレイ一体型PCで使われる低電圧のCPUを採用しています。CPUの型番の末尾に「HQ」や「U」と付くものがそうです。

 低電圧版のCPUは消費電力が少ないため、省エネ性が高いです。その分処理能力は落ちますが、ネットサーフィンなど一般的な使い方であれば問題無いでしょう。

LIVA Zの消費電力
LIVA Zの消費電力 たったの4.3W!(アイドリング時)

関連記事:実機計測で分かった超小型PCの省電力性 | 消費電力はどうか

意外なデメリットとは

 続いて、見落としがちなデメリットを紹介します。

大きなデスクトップPCの方が安い

 通常サイズのデスクトップPCと比べてやや割高になります。

 例えばドスパラで見てみると、同じ構成で比べても超小型PCが55980円なのに対し、デスクトップPC(ミニタワー)は51980円と7%ほど安くなっています。 Core i3-7100/4GB/500GB HDD

 置くスペースの差(家賃換算)や移動に掛かるコストを計算に入れると超小型PCの方が「低コスト」になりますが、購入価格はやや高くなってしまいます。

持ち運べるほどではない

 「超小型」と言っても、日常的に持ち歩くには適していません。
 本体重量は平均的に1Kg以上ある上、使うにはモニターやキーボード、マウスも必要になります。それならノートPCやタブレットを持ち歩く方がスマートでしょう。

 何らかの事情でPC本体だけを持ち歩きたい場合は、「スティックPC」という選択肢をおすすめします。ポケットに入るサイズで、本体も100g以下です。

スティックPCのサイズ感
スティックPCはポケットに入るサイズ

関連記事:スティックPCの一覧&比較表

光学ドライブが無い

 ほとんどの超小型PCには光学ドライブが付いていません。CDやDVDを読み込む場合は外付けの光学ドライブを用意する必要があります。CD/DVDなら2千円程度からあります(Amazon


光学ドライブ付きもある( 富士通ESPRIMO WD1/X

 USB端子や映像出力端子の数ではデスクトップPCと遜色ないのでご安心を。デュアルディスプレイや機種によってはトリプルディスプレイも可能です。

超ハイスペックモデルが少ない

「へビーでない」3Dゲームをプレイできる超小型PCもいくつか登場していますが、ヘビーな3DゲームやVRゲームのプレイには現状では対応できません。

RYZEN5を搭載するmini Regulus

例えばmini RegulusはドラクエXのベンチマークテストで「とても快適」という結果が出ており、ゲームをプレイできないというわけではありませんが、よりハイスペックを必要とする場合は不向きと言えます。

関連記事:続々登場!ハイスペックなゲーミング「超小型PC」の一覧

「大きなPC」の時代は終わった

9割以上の「一般的なユーザー」の用途は、ミニPCで十分満たすことができます。もはや大きなPCを買う必要は無いと言えます。

関連記事:超小型PC(ミニPC)のスペック比較表