災害時でもパソコンを使いたい!仕事でどうしても必要だ!という方に向けて、ミニPCを停電時でも使う「無停電化」を提案します。実際に自宅で2.5時間試した結果を交えて解説します。
関連記事:ミニPCの一覧比較表
停電時にもミニPCを使うには
停電時にもミニPCを稼働させるためにはまずミニPC本体と液晶モニターへの電源の確保と、通信回線の確保の二段階の準備が必要です。順を追って解説します。
ミニPC・液晶モニターの電源確保
パソコンを稼働させるために欠かせないのが電源です。ノートPCにはバッテリーが内蔵されていますが、ミニPCにはバッテリーが無いものがほとんどなので、電源を確保しましょう。電源を確保する方法としては以下のものがあります。
ポータブルバッテリーを用意する

手軽なのがポータブルバッテリーです。
リチウムイオン電池を内蔵している「大きなモバイルバッテリー」です。価格はピンキリですが、2万円前後で購入した容量256WhのポータブルバッテリーにミニPCと液晶モニター2枚を接続したところ、2時間半使用して電池残量は52%まで減りました。計算上は約5時間使えることになります。テスト環境は以下のとおり。
| バッテリー | Anker 521 Portable Power Station |
| PC本体 | マウスCAシリーズ AMD Ryzen 5 4500U |
| 液晶モニター | 24.1インチ(EIZO EV2455) 23.8インチ(EIZO EV2450) |

モバイルバッテリーはUSB出力が一般的ですが、ポータブル電源は家庭のコンセントと同じACのコンセントでの出力に対応しています。定格で数百Wまでの出力に対応しているので、液晶モニターと合わせて50W程度も使わない一般的なミニPCには十分です。
実際に自宅でポータブル電源からの供給でサイトの更新作業を行いましたが、普段通り使うことが出来ました。

自宅に蓄電池を設置する(難易度高め)
住宅やオフィスに蓄電池を設置することで、ミニPCだけでなく建物全体の停電対策になります。停電時に蓄電池から電気を供給することが出来る配線も可能です(製品による) ミニPCだけでなくエアコンなども使えます。
容量はモバイルバッテリーはもちろん、ポータブルバッテリーと比較しても桁が1つ以上大きいので長時間の対応が可能です。家庭向けに普及している10kWh容量のタイプでは、一般家庭の1日分の電力をまかなうことができます。
ただし設置には工事が必要となり、賃貸では導入が難しいこと。また設置スペースを取るためマンションや集合住宅では設置できないことに加え、設置費用が高額です。設置費用は「軽自動車が買えるくらい」とイメージしてください。蓄電池については以下の記事を参考にしてください。
通信回線の無停電化
停電して初めて気づきがちなのが、通信回線の確保の問題です。WiFiルーターは停電で止まってしまうことはイメージしやすいと思いますが、光回線の終端装置やハブ、あるいは集合住宅にお住まいの場合は建物内に設置された集合装置やスイッチングハブがネックになりやすいです。いずれも停電対策はされていないことが多く、固定回線は停電時に止まりやすいです。電源が必要となる箇所は多岐にわたります。
| 機器(建物内) | |
|---|---|
| WiFiルーター | 宅内 |
| スイッチングハブ | 戸建・マンション宅内、集合住宅共用部など |
| 終端装置 | 戸建ての光回線、集合住宅共用部にも |
| VDSL集合装置 | 集合住宅共用部 |
停電対策を考えると、モバイル回線の利用がより確実性が高いです。モバイル回線の基地局には停電対策が施されており、数時間~24時間程度は停電後も稼働できるものが多いです。
停電用にモバイルルーターを契約するのは費用の面であまり現実的ではないと思います。おすすめはテザリングです。普段使用しているスマホを通じてネットに接続することで、停電時の通信回線の確保が可能です。
また、楽天モバイルは2026年をめどに高速の衛星通信サービスを開始します。現在使われている多くのスマホが対応予定で、動画視聴も可能とされています。衛星は地上の停電の影響を受けないので、大震災のように数日以上続く停電時に有効です。
私は月に何度か、外出先でノートPCを使うために楽天モバイルの4Gや5G回線でテザリングを利用しますが、自宅の光回線と比べてやや遅延は大きいもののストレス無く利用できています。5Gエリアなら下りの通信速度も自宅の光回線より速い100Mbps以上出るので快適です(上りは10Mbps程度が多い)
ミニPCの比較はこちら
ミニPCは見やすい一覧の比較表で比較できます。
関連記事:ミニPCの一覧比較表
停電時により長く使うことを考えるなら、ノートPC向けの低電圧版CPUを搭載したモデルをおすすめします。型番の末尾が「U」のものが低電圧版です。消費電力が低く抑えられています(反面、価格に対して処理性能は低くなる傾向)







