意外と面倒だし、お金も掛かるパソコンの買い替え。できるだけ「長く使える」PCを選ぶことで、買い替え頻度を少なくすることができます。この記事では10年後も快適に使えるミニPCの選び方を解説します。

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前提:そもそもミニPCは10年使える耐久性があるのか

ミニPCの耐久性に疑問の目を向ける人は少なくありません。デスクトップPCと比較して熱がこもりやすい点が不安の原因です。

結論としては信頼できる国内メーカー製のミニPCで、使用頻度が高くない利用シーンであれば10年使うことは不可能ではないと思います。

私はミニPC、マウスCAシリーズをメインPCとして購入し丸4年にわたりハードに使い込んでいますが、無故障で稼働しています。毎日最低8時間以上・週6で稼働し続け、PCで画像生成AIを夜通し稼働させるなど使い込んできたミニPCですが、今のところ問題無く稼働しています。

一般的な家庭用のPCに換算して、既に「10年分」以上の負荷は掛かっているはずです。従って通常の家庭用用途であれば10年近く使えるはずです。

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10年使えるミニPCのスペック

一般家庭で10年使うことを想定した、必要スペックを検討します。

OS

10年使う上で最大の難関となるのがOSのサポート期限です。

WindowsやMac OSといったOSには、サポート期限があります。サポート期限を迎えたOSにはセキュリティ維持のための更新プログラムの提供などが無くなるため、利用を続けるとセキュリティ上の問題が日に日に拡大します。

現在最新のWindows11は2031年がサポート期限とされています。過去にWindows10ユーザーに無償で11へのアップグレードが提供されたことがありますが、アップグレードが提供されない場合は実質的に2031年が使用期限となります。

今後Windowsの次世代(Windows12でしょうか)のリリースにあわせて11からの無償アップグレードが提供されることに期待したいところですが、この点は厄介な問題として存在します。

CPU

パソコンで閲覧するウェブサイト、使用するソフトウェアは年々「ヘビー」になっています。それを動かすPCも年々高いスペックが求められます。参考までに、私が2021年に購入してメインPCとして使用しているマウスCAシリーズの、2021年モデルと2025年モデルに搭載されているCPUの処理性能をベンチマークスコアで比較します。

CPUPassmarkスコア
2021年モデル
Ryzen 5 4500U
10777
2025年モデル
Ryzen5 7530U
16057

2021年モデルのCPUでも、2025年現在もウェブの閲覧などでは不満無く動作していますが、2025年モデルのPCはよりサクサク動くというわけです。ちなみにミニPCを買う直前まで使用していた2016年モデルのデスクトップPCのベンチマークスコアは6053でした(Core i5-6600)

「10年先」も快適に使うことを考えると、購入時点で「快適」に使える性能のものを選んではダメです。約10年前に「快適」に使えたベンチマークスコア6053のPCは、2025年現在は快適に動作するPCではありません。

2025年から2035年を見据えてPCを選ぶなら、Passmarkのベンチマークスコアで25000は最低ラインと言えます。30000あると安心できると思います。

メモリー

一時的なデータ保存を担うメモリーも、年々必要量が増加しています。私が2005年に購入したPCは512MBでしたが、使用にストレスを感じるようになり2008年頃に1GBに増設。2010年に購入したPCは4GB、2016年に購入したPCは8GB、21年に購入したミニPCは16GBと拡大を続けています。いずれも、その当時で快適に使えるスペックを選んだつもりです。

2025年現在で快適に使えるのは16GB以上ですが、10年先を考えると32GBを選んでおくのが無難だと思います。8GB未満は既に快適に使えるスペックではありません。

WiFi

多くの方がWiFiでインターネットに接続すると思います。WiFiの規格は新しいものが定期的に登場しており、2025年の最新はWiFi7です(24年に登場:IEEE802.11be) 古い規格のWiFiは通信速度に劣るほか、セキュリティ面で弱さがあります。

通信速度については2025年現在主流のWiFi5(11ac)で10年後も問題無く使えるはずなので気にする必要はありませんが、セキュリティや他機器との接続性を考えるとWiFi6(11ax)に対応したものを選んでおいた方が無難です。

10年後も快適に使えるおすすめのミニPC

以上をふまえ、10年後も快適に使えるであろうおすすめのミニPCを紹介します。

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ツクモMSシリーズ Core i5/i7

秋葉原の老舗PCショップで現在はヤマダ電機のブランドになっているツクモのミニPCです。私も実家用に購入し、3年以上無故障で稼働しています。静音性が高く、とても静かなミニPCです。ミニPCとしては放熱性も高く熱がこもりにくい点でも、長期間の使用に耐えうるミニPCです。

Core i3/i5/i7から選ぶことができます。家庭で5年先まで使うなら最も安価なCore i3でも問題無いですが、10年先まで使うならCore i5かi7がおすすめです。

オプションのVESAマウントキットを使うと液晶モニター背面に取り付けることも可能です。

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液晶モニターはもっと長寿命

ミニPCを使う上で本体と共に欠かせないのが液晶モニターです。液晶モニターは多くの製品が問題なく10年以上使うことができます。

実家では2010年に購入した液晶モニター(アイ・オー・データ製)が今も現役ですし、2016年に購入し私がメインPCで使用している液晶モニター(EIZO製)も使用時間が25000時間に達していますが、問題なく稼働しています。9年換算で1日平均7.9時間使用していることになります。

「つけっぱなし」にしなければ10年以上は余裕で使えるものです。画面が大きい方が操作性が高いので、少し奮発して邪魔にならない程度に大きなモニターを買っておくと、長く快適に使えると思います。

PC本体と液晶モニターは本来別々に「寿命」が来るものですが、ノートPCのように一体化していると液晶モニターはまだまだ元気でも丸ごと捨てることになります。別々に買い替え出来るミニPCは「エコ」ですし、費用面でも節約になります。