この記事では今後、インテルの最新CPU、Core Ultraを搭載したミニPC(超小型PC)を一覧で紹介していく予定です。
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Core Ultraの特徴・利点
インテルの次世代CPU、Core Ultraの特徴をまとめます。
「40年ぶりの進化」
Core Ultraに関しては、インテルが「40年ぶりの進化」と表現しておりこれまでのCore iシリーズとは一線を画すものとなることが期待されています。
Core iが2008年に登場してから15年が経つタイミングで、インテルはこれまでの「i」をやめて、今後はUltraに移行していくことがすでに発表されています。
何が良いのか、最大の利点は「AI対応」
近年、ChatGPTに代表される生成系AIの普及・導入が急速に拡大しています。ビジネスの現場で使用されるだけでなく、個人的な調べ物などでも生成系AIが活用される場面は増えていくでしょう。
Core Ultraの利点を一言でまとめると、AI対応です。マシン上で処理する生成AIの処理性能が、これまでのiシリーズと比較して格段に向上していると謳われています。
ChatGPTのような大規模な生成モデルをマシン上で動かすことは引き続き難しいものと思われますが、より軽量のモデルをパソコン上で稼働させることがより容易になるというわけです。
現状のCPU(グラフィックボード無し)で画像生成AIを使うと、1枚の画像を生成(Stable Diffusion)するのに20分以上の時間がかかります。Core Ultraでは大幅な時間短縮が期待されます。
2023年末から国内外で様々なテストが行われていますが、グラフィックス性能の評価スコアはCore Ultraの上位モデルCore Ultra 7 155Hが下位モデルのグラフィックボードと同等(GTX 1650をやや下回る)とされています。
GTX1650では画像生成が1枚2分程度で出来るので、画像生成AIをサクサク使えるというわけにはいかないものの、CPU内蔵グラフィックスだけでもギリギリ使える程度の性能は期待できそうです。
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消費電力が減少
Core Ultraでは消費電力の小ささも謳われています。具体的な数値は公表されていませんが、ノートPCの電池持ちの改善、特に負荷の掛かる作業を行った際の電池持ち改善が期待されています。
より少ない電力で長時間稼働できるのであれば、バッテリーを小さくすることが可能です。Core Ultraの登場により、ノートPCが更に軽量になる可能性もあります。
既に公表されているテスト結果では、処理性能を示すベンチマークスコアをCore iシリーズと比較して大幅に向上させつつ、消費電力は横ばい程度とされており、同じ処理性能同士で比較すると消費電力は「やや減少」となりそうです。大幅な減少・電池持ち改善は期待出来ないものの、同等の処理性能・電池容量でCore iより30分~1時間長く使えるイメージです。
画像処理性能の向上 ゲームが快適に
昨今、パソコンゲームの市場規模が拡大を続けており、プレイステーションなどの専用機ではなくパソコンでゲームを愉しむ人が増えています。
パソコン各社は高性能なGPUを搭載したゲーミングPCを続々投入していますが、Core UltraではCPUの画像処理性能が大幅に向上することが期待されています。
Core iシリーズでは、競合となるAMDのRyzenシリーズと比較して画像処理性能で劣っていると言われることが多かったインテルですが、これを機に評価が逆転する可能性もあるでしょう。実際、既に公表されているグラフィックス性能のテストでは、Core Ultra 7 155HがRyzen 7 6800Uを上回るスコアを残しています。
Core iシリーズの上位モデル(グラボ無し)でも、ヘビーでない3Dゲーム(ドラクエX)をプレイすることは可能でした。今後はCPU内蔵グラフィックで快適にプレイできるゲームが増えていくことが期待されます。高性能で高価なGPUが無くともゲームがプレイできるようになることで、ゲーム人口の拡大も期待できるかもしれません。
Core UltraがミニPCに与える影響・変化は?
では、Core UltraはミニPCにどのような影響を与えるのでしょうか。主な影響・変化は以下のとおりです。
- 高性能化、省電力化
- ACアダプターの小型化
- ゲームのプレイがより快適に
ミニPCは本体が小さいため、グラフィックボードを内蔵することが出来ません。そのため、高精細なゲームのプレイには適さないというデメリットがあります(ドラクエXのベンチテストなどでは「快適」と評価されるミニPCもある) Core Ultraで画像処理性能が大幅に向上することで、これまでミニPCではプレイしづらかった負荷の大きなPCゲームが、よりプレイしやすくなるでしょう。
ゲームだけでなく、動画編集作業などの高負荷の作業もよりスムーズに行えるようになるでしょう。
また、消費電力が小さいためACアダプターがより小型化することにも期待したいです。
Core Ultraはいつ登場するの?
CPUの発表は2023年12月14日
Core Ultraの正式な発表は2023年12月14日と発表されています。2023年12月にまずは秋葉原のパーツショップなどの店頭で販売が開始され、続いて早ければ2023年内にもCore Ultraを搭載したPCが少数発売されています。AcerがCore Ultra搭載のノートPC「Acer Swift Go」を2023年末に発売しています。
Core Ultra搭載ミニPCの登場は・・
Core Ultraを搭載したミニPCの発売ですが、2024年1月初旬時点ではまだ製品は登場しておらず、2024年春頃に多くの製品が登場すると予想しています。
ミニPCのマーケットはノートPCや通常のデスクトップPCと比べて規模が格段に小さな市場です。そのためインテルからCore Ultraを調達したパソコンメーカー各社は、まず販売台数が多く注目を集めやすいノートPCやデスクトップPCに搭載し、販売するはずです。ミニPCは「後回し」になるでしょう。過去のCore iシリーズの最新CPUでも、デスクトップPCやノートPCから数ヶ月以上のタイムラグを待ってからミニPCでも採用されていました。
当サイトではCore Ultra搭載ミニPCが発表・発売されしだい、順次情報を発信していきます。
Core Ultra搭載のノートPCの一覧
Core Ultra搭載のミニPC・デスクトップPCは2024年2月8日時点でまだ発売されていない状況ですが、ノートPCは既にいくつかの製品が国内発売済み・発売予定です。以下にまとめます。
メーカー | 製品名 | CPU | 画面 | 参考価格 |
---|---|---|---|---|
Dell | Inspiron 13 | Core Ultra 5 125H | 13.3インチ | 147000円 |
Acer | SFG14-72-F73Y | Core Ultra 7 155H | 14インチ | 219800円 |
msi | Prestige-16-AI- Evo-B1MG-1001JP | Core Ultra 7 155H | 16インチ | 239800円 |
HP | OMEN Transcend14 | Core Ultra 7 155H Core Ultra 9 185H | 14.0インチ | 278300円~ |