ミニPCをメインPCとして使い始めて3年、小ささこそ正義だな、大きいPCと何も変わらなく使えるじゃんと思っていた私の前に突如現れた大きな壁を紹介します。

AI画像生成にハマっている最近の私

私は一時期、AIによる画像生成にのめり込んでいました。毎日2時間以上をAI画像生成に費やしていた時期もあります。

主にブラウザ上で機能するAI画像生成サービスを利用しており、これはミニPCでも全く問題なく動作しています。画像処理はサービス提供元のサーバーで処理されるため、ネットサーフィン出来るスペックがあれば自分のPCに特別な性能を必要としません。スマホでも出来るレベルです。

ですがもう少し踏み込んだAI生成をやってみたいと思い色々と研究を進めていくうちに、ミニPCではAI画像生成を存分に楽しむことが出来ないという壁に直面しました。

ローカル環境でのAI画像生成はミニPCには厳しい

ミドルクラス以上のゲーミングPC級の性能が求められる

AI画像生成を行うには、ミドルクラス以上の「ゲーミングPC」の性能が求められます。具体的には以下のようなスペックが必要とされています。

  • AMD Ryzen 5 3600
  • メモリー32GB
  • GPU:NVIDIA Geforce GTX 1600

アニメ絵の生成であればもう少し低スペックでも動作するようですが、高精細な3D絵のようなものを生成するには上記のようなスペックが必要になるようです。

残念ながら上記のスペックを満たすミニPCは現在出回っていません。したがって、AI画像生成を行うにはミニPCでは不十分、ということになります。PC内のスペース上、グラフィックボードを搭載することが難しいという制約があります。

ミニPCでAI画像生成をしてみた結果

私のメインPC Mouse CT6
  • Ryzen 5 4500U
  • メモリー16GB
  • 内蔵グラフィック

上記のスペックのMoutuse CT6でStable Diffusionをローカル環境で使用し、画像を生成することは「出来なくはない」のですが、384×384ピクセルの画像1枚生成するのに5分掛かる(512×512は10分掛かる)上、CPUの使用率がほぼ100%近辺で張り付いたまま、またGPUの温度も80度近くまで上昇するという状況です。「使える」と言えるレベルではないです(画像はちゃんと生成できます)

対策としてGoogle colabを使用するという方法もありますが、無料版では使用に制約があること、有料版は月額1000円以上の費用が掛かる(しかも使い放題ではない)ので私のように毎日長時間使用したい人は大人しくグラフィックボード搭載の「大きなゲーミングPC」を買うのがベストかなと思います。

普段使い~お仕事には問題ない

私がメインPCとして使っているMouse CT6を含め、ほとんどのミニPCは多くのパソコンユーザーの利用シーンを余裕をもってまかなえる性能を持っています。「大きなデスクトップPC」と何ら代わりありません。AI画像生成をローカル環境でやろうと考えるまでは、PCの性能に不満を持ったことはありませんでした(ネット閲覧、Excel、Photoshop編集、サイト作成などでPCを利用)

ですが「それ以上」の性能が必要となると、ミニPCでは限界がある部分があります。AI画像生成や3Dゲームをプレイするゲーマーの方にはミニPCはおすすめできない、という結論になります。

逆を言えば、そういった使い方をしないのであればミニPCで全く問題はありません。

超小型PC(ミニPC)の比較表

Core Ultraはどうか

2023年末に「AI対応」を謳って登場したIntelの新CPUのCore Ultraシリーズですが、このCore Ultra搭載でも画像生成をPCで処理するのは極めて難しいと言えます。

インテルやPCメーカーのデモではAI画像生成ソフトStable Diffusionを利用した画像生成に掛かる時間は従来のCore iの13世代で27秒であったのに対し、Core Ultraでは11秒で完了したとするニュース記事が多数出てきます。

しかし私がグラボ無しのRyzen5-4500U搭載PCでNMKD Stable Diffusion GUIを利用して高精細な画像を生成した際、1枚の画像を生成するのに約20分掛かりました。Ryzen5-4500Uは家庭用のPCとしては「中の上」程度の画像生成能力を持つPCですが、仮にそこからタイムを半分に縮小できたとしても1枚生成するのに10分掛かるわけで、これでは到底実用的とは言えません。

「27秒(Core i)→11秒(ultra)」がどのような条件でのテスト結果なのか不明(おそらくかなり小さいサイズの画像)ですが、Core Ultraが普及しても基本的には生成系AIはクラウド上で処理するWebサービスの利用が一般的であり続けるはずです。

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