日本国内でも一時期は新製品が続々と発売され、注目を集めたスティックPC。2025年を迎えようとする今、どうなったのか。ブーム当時から追い続けている私がスティックPCの「現在地」を解説します。

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ブームとなった2015年

スティックPCは2014~15年にかけて、国内で注目を集めました。マウスやドスパラなど国内メーカーからも相次いで新製品が発売され、週刊アスキーなどのメディアでも頻繁に取り上げられていました。私も当時、メーカーの製品展示会に呼んでいただいてスティックPCばかりを撮影したり、メーカーからの貸出機や購入品で実機レビューをいくつも公開しました。

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ブームは一過性に終わる

ところがスティックPCのブームは2016年を迎えることが出来ず、下火になりました。それから10年近く、停滞した状況が続いています。

スティックPCはなぜ定着せず、一過性のブームに終わったのか、その原因を考察します。

普段遣いのPCとしては性能が低すぎた

スティックPCの欠点として、本体が小さいがゆえに処理性能が低い点が挙げられます。店頭で使うデジタルサイネージなどの用途には対応できるスペックですが、一般家庭でネットサーフィンや動画鑑賞を行うには正直不足感のあるスペックでした。ネットサーフィンができないわけではありませんでしたが、当時の最新のノートPCと比較しても動作の「サクサク感」に欠けていたのが事実です。

最初期に発売された製品は熱の問題を抱えていた

国内で最初期に発売されたスティックPCの中には、「熱」の問題を抱えていたものがありました。具体名を挙げるとマウスのMS-NH1です。

当時の実機レビューにもしっかり記載しましたが、ネットサーフィン程度の使用でもCPU温度の上昇による処理性能の低下がみられ、元々低い処理性能が更に落ちて「カクカク」になってしまうものがありました。このような最初期のスティックPCの影響で「スティックPCは使えない」というイメージが広まってしまった部分があると思います。

2025年にも生き続けるスティックPC

2025年を迎えようとする今、国内メーカーは撤退したもののスティックPCを販売するメーカーがあります。ブームから10年が経った最新型のスティックPCを紹介します。

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Minisforum S100

中国のミニPC専業メーカー、Minisforumが2024年に発売したスティックPCです。

IntelのN100というCPUを搭載しており、Passmarkスコアは5489なのでちょうどスティックPCブームだった2014年頃の平凡なノートPCと同じくらいのスペックです。2024年末現在でもこれより「低スペック」なノートPCは家電量販店の店頭に並んでいるので、見方を変えればノートPC級の性能と言えるでしょう。2015年前後のブーム当時のスティックPCで使われていたCPUのPassmarkスコアは1000前後なので、それと比べると圧倒的に処理性能は高いです。

家庭用のPCとして「サクサク」動くかと言われるとやや難しいところですが、メモリーも8GBあるので例えばお子さんの初めてのPCやデジタルサイネージなどの用途での利用に適したスペックです。